全体像を把握し、わずかな補強で大きな効果
構造物の内部における力の流れ、すなわち荷重伝達を検討することは、構造物の強度や剛性の値が生じた理由(Awareness)を知る上で価値が高い。単に、設計基準に適合した強度と剛性を得るだけでよしとするのではなく、その強度と剛性という結果が生じた理由を知ろうとすること、言い換えればAwarenessを重視する姿勢こそ、次の開発につながる知見をもたらす。
望ましい力の流れを追求していけば、結果として自然に強度や剛性が上昇する。そのための指標としてU*(ユースター)なる量を利用することができる。
今号(第3回)と次号(第4回)では、自動車の車体構造の例を中心として、構造検討の具体的手法を解説していきたい。それは、次のように大別できる。
[A]構造の全体像の把握
[B]構造変更案の提示
[C]構造変更効果の評価
これらのうち、今号で[A]と[B]について、次号では[C]について解説する。
〔以下、日経ものづくり2013年3月号に掲載〕
慶應義塾大学名誉教授