グローバルセンスは、視野を世界へと広げるために必要なさまざまなテーマを、全ての技術者を対象にして紹介するコラムです。「ポストパソコンの本命は誰が造るか 激戦模様の台湾EMS/ODM動向」は、最近、市場成長が著しいタブレット端末をめぐる電子機器の世界生産動向を探ります。

 2回に分けてお届けしている、タブレット端末をめぐる台湾のEMS(電子機器の受託生産サービス)やODM(相手先ブランドによる設計・生産)業界の最新動向を紹介する本連載。タブレット端末の最大手企業である米Apple社の製品の受託生産動向をお伝えした前回に続き、今回はApple社以外の企業、すなわち米Microsoft社、米Amazon.com社、米Google社のそれぞれに関するタブレット端末の受託生産を取り上げる。

【Microsoft社】誤算続きのSurface

 2013年1月下旬、タブレット端末の動向に関する1本のレポートが、EMS/ODM 業界を震撼させた。Microsoft社の自社ブランドのタブレット端末「Surface RT」の実売が、発売後の最初の四半期で、わずか23万台にとどまった可能性を指摘したものだ(図1)。23万台という数はタブレット端末としては極めて少ない。
〔以下、日経ものづくり2013年3月号に掲載〕

図1●Microsoft社のタブレット端末「Surface RT」を試す人々
図1●Microsoft社のタブレット端末「Surface RT」を試す人々
Surface RTが中国で発売された初日の2012年10月26日の、家電量販の中国最大手であるSUNIN社(蘚寧電器)の上海浦東第一店の店頭における様子。発売初日であるにもかかわらず、来客が少ない。

山田泰司(やまだ・やすじ)
EMSOne 編集長
EMS/ODM企業・市場に特化した情報サービスを提供するEMSOne編集長。1990年代に8年間の香港勤務を経て、2001年から上海在住。この間、新聞社や中国国営雑誌社などに在籍して企業や社会問題の取材を続けてきた。EMSOne(www.emsodm.com)では、EMS/ODMから液晶パネル、携帯電話機、太陽電池までを網羅したニュース・レポートを配信。月~金でメールマガジンも発行している。