板金部品や樹脂成形部品、ねじといった低価格の小型汎用部品は、物流コストなどを考えると個別包装で供給を受けることは難しい。袋詰めなどでの供給が一般的だが、これが組立工程でバラ積み部品となって扱いに悩むことになる。

 とはいえ、大量生産品向けの場合は、専用のパーツフィーダを用意することで部品の供給を自動化できる。逆に特殊品向けの場合は人手で対応可能だ。最も厄介なのが、変種変量生産品向けの場合である。自動化するには生産品の切り替えごとに高額なパーツフィーダをそろえる必要があるが、とても費用の面から現実的ではない。「結局、人手での対応になる。変種変量生産でのバラ積み部品の対応は大きな課題だ」(三菱電機名古屋製作所ロボット製造部専任の奥田晴久氏)。

 かく言う同社では変種変量生産において、バラ積み部品を自動で取り出して整列させるシステムの開発を進めてきた1)。そして2013年2月、同システムの中核ユニットである3Dビジョンセンサ(以下、3Dセンサ)「MELFA-3D Vision」の発売にこぎ着けた(図1)。これと汎用ロボットを組み合わせれば、タクトタイムが最短で3秒と短く、さまざまな形状の部品に柔軟に対応できるバラ積み部品の整列システムを構築できる。
〔以下、日経ものづくり2013年3月号に掲載〕

図1●バラ積み部品を1台めのロボットが自動で取り出し
ロボットアームの先端に取り付けた3Dビジョンセンサが複数の部品(この場合は4種類の部品)の把持可能な部位を自動認識し、ロボットがその情報に基づいて部品を取り出していく(a)。数mm~10cm程度までの小型部品に対応している。(b)が3D ビジョンセンサの外観。(a)で使われているものは、開発中のものなので商品化したものとは外観が異なる。
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参考文献 1) 富岡,「バラ積み部品を整列するロボット」,『日経ものづくり』,2011年11月号,pp. 30-31.