2013年1月14~27日に米国デトロイトで「The North American International Auto Show(通称:デトロイト・モーターショー)」が開催された。主催団体によると、累計入場者数は79万5416人。2004年の80万8833人に次ぐ規模で、前年比では3.2%増となった。展示会場では50を超える新型車が初披露され、北米の自動車市場が着実に回復していることを印象付けた。高級車の展示が多かった一方で、エレクトロニクス技術を積極的に活用して安全性や快適性を高める取り組みも多く見られた。

回復した自動車市場で次の一手を探る

 ガソリン車の復権か──。

 米国デトロイトで開催された「The North American International Auto Show(デトロイト・モーターショー)」の主役は、米General Motors(GM)社が発表した「Chevrolet」ブランドのスポーツ・カー「Corvette Stingray」で間違いないだろう。排気量6.2LのV型8気筒エンジンを搭載して335kWもの最高出力をたたき出すスーパーカーだ。Corvette Stingrayを目当てに多数の来場者が車両の前に詰め掛けて、常に黒山の人だかりができていた。Corvette Stingrayだけでなく、今回のデトロイト・モーターショーでは高級スポーツ・カーや大型のSUV、ピックアップ・トラックなど、多くのガソリン・エンジン車がお披露目されてショーを彩った。

 ガソリン・エンジン車の投入が相次いだのは、北米の自動車市場が着実に回復を遂げていることの証拠だ。2008年秋に起こった「リーマン・ショック」の影響で大打撃を受けた自動車メーカー各社の傷が徐々に癒え始めている中で、「今、利幅の大きい車両を市場に投入して業績を回復させたい」という各社の思惑がはっきりと表れた。

 実際、米国の新車販売台数は2009年に1000万台強まで落ち込んだ。それ以降低迷を続けていたが、2012年は1449万台とリーマン・ショック後の最高の売れ行きとなった。

 では、2012年1月の同ショーで盛り上がりを見せた「エコカー」は単なるブームだったのか。答えは「No」だ。中長期的に考えれば、資源枯渇や環境問題などへの対応は、自動車メーカーにとっては欠かせない。確かに、今回のデトロイト・モーターショーでは新型の電動車両に関する斬新な発表は少なかった。だが、各社が中長期的な視点で自動車開発に取り組んでいる様子は見て取れた。

『日経エレクトロニクス』2013年2月18日号より一部掲載

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