2013年1月8~11日に米国ラスベガスで開催された「2013 International CES」。最大のトピックは「4K」だった。テレビやスマートフォン、カメラなど幅広い機器で、次の技術トレンドになりそうだ。

大画面と次世代技術で4Kテレビが離陸へ

<テレビ>
4Kに未来を託す、有機ELや映像配信に脚光

 「4K」「4K」「4K」…。今回のCESで大手家電メーカーがこぞって力を入れたのは、4K×2K(3840×2160画素)映像(4K映像)を表示できる大画面テレビ関連の展示だった。4K映像を示す「UHD(ultra HD)」の文字が日韓中の大手メーカーの展示ブース内に踊った。

 価格低下に悩むテレビ分野で、4Kテレビを次なる収益の柱に育てようという思惑が散りばめられた形だ。55~85型の新機種を各社が拡充し、110型の試作機も登場した。放送や通信で4K映像を家庭に届ける技術開発が本格化したことに加え、携帯端末やビデオ・カメラで4K映像対応が進んだことも、今回のCESの特徴だった。4K映像関連の技術開発は、2013年の大きなトレンドの一つになりそうだ。

有機ELで4Kテレビに挑む

 中でも関心を呼んだのは、パナソニックとソニーが出展した大画面テレビ向けの4K有機ELパネルである。酸化物半導体TFTを駆動素子に用いる56型のパネルを両社がそれぞれ試作した。

 発光素子の形成では、パナソニックが印刷技術を用いて有機EL材料を塗布した。この技術は、現在主流の蒸着技術に比べて生産工程を簡易にしやすい。今回用いた有機EL材料は高分子材料で、住友化学が開発した材料をベースにした。パナソニックは2012年10月に同社の姫路工場に試作ラインを構築。ほぼ同じ時期にソニーから供給を受けた駆動素子を用いて急ピッチで試作したという。

 ソニーは蒸着技術で有機ELパネルの発光素子を形成した。試作機では、テレビ受像機としての完成度を高めることに力を注いだ。テレビ用の回路を試作機に組み込み、色ムラを抑える画像処理や、パネルの寿命を長くする技術などに工夫を加えた。

『日経エレクトロニクス』2013年2月4日号より一部掲載

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