2013年2~6月号では、2012年10月に日本プラントメンテナンス協会が主催した「からくり改善くふう展2012」の展示品から、生産現場で発生するさまざまな問題を解決するために、現場の人たちが知恵を絞って考案・作製したからくりや治具の事例を紹介します。

事例1:隣のプレス機の動きを使って部品を組み付ける

 日本クライメイトシステムズ(本社広島県東広島市)は、パーツフィーダと組み付け作業を連携させた「からくりFマシーン」を開発した(図1)*1。同社は、主にカーエアコンの部品を生産しており、今回開発したからくりもエバポレータとジョイントパイプのろう付けに使うリング状のろう材シートを、ジョイントパイプに自動で組み付けるためのものだ(図2)。

 従来は、この作業を人手で行っていたが大きな問題があった。ろう材シートは1.5mmと薄いので2枚重ねて組み付けてしまうのだ。検査工程はろう付けした後なので、正しく組み付けられなかったものは不良として廃棄処分にするしかなかった。
〔以下、日経ものづくり2013年2月号に掲載〕

図1●ろう材シートを組み付ける「からくりFマシーン」
図1●ろう材シートを組み付ける「からくりFマシーン」
そろえ部と送り出し/組み付け部から成る。そろえ部で正しい向きにそろえられたろう材シートは、左右から1枚ずつ組み付け位置に送られ、前進してきたジョイントパイプにセットされる。
図2●ろう材シートの外観
図2●ろう材シートの外観
エバポレータ本体とジョイントパイプをろう付けするのに使う。ジョイントパイプの形状に合わせて湾曲しているので裏表がある。さらに厚さが1. 5mmと薄いため、人が作業すると2枚重ねて組み付けるというミスが起きやすかった。