下のイラストを見てほしい。主人公は、黄色い服を着た働く女性。出産を経験し、再び職場に戻った。

 出勤時の荷物は「モバイルボード」、いわゆるタブレット端末だけ。立ち寄った得意先では、そのモバイルボードを指で操作し、自社のホームページに掲載してあるサービス内容を表示させながら説明する。

 空いた時間ができると、得意先へ訪ねたときの交通費を精算したり市役所に提出する書類を投函したりと、「タスクマネジメントシステム」が知らせてくれる雑務をこなす。

 子供を持つ彼女にとっては、「社内ワーキングマザーコミュニティ」は心強い味方だ。イントラネット上のコミュニティサイトを通じて、母親同士の交流を深め、悩みを語り合ったり励まし合ったりしている─。

このイラスト、2013年の世界に住む我々には当たり前かもしれないが、これが描かれたのは今ではない。驚くことなかれ、「iPhone」(2007年発売)も「iPad」(2010年発売)もまだ存在しない2005~2006年である。今から7~8年も前に、見事、現代のワークスタイルを的中させたのは、コニカミノルタの社会価値創出研究室。同研究室が遠い未来を見通すために重要な役割を果たした手段、それが行動観察だったのである。
〔以下、日経ものづくり2013年2月号に掲載〕