2011年に洪水の影響で生産・販売が急減したタイは、2012年に新車販売が急拡大。前年の反動に加え、「エコカー」として認定される小型車が多く登場したことがその理由だ。2012年6~10月までエコカー部門トップの販売を維持した「ミラージュ」を造るLaem Chabang第3工場を訪れ、三菱自動車のタイ戦略を聞いた。

 2012年11月末から開かれたタイ最大の自動車展示即売会「Motor Expo2012」は、多くの商談客で賑わっていた(図1)。日本のモーターショーと違い、同展示会は会場で実際に自動車を売る。2012年は、過去最多だった2010年の2.6倍となる8万5904台が売れた。
 人気は、三菱自動車の「ミラージュ」、ホンダが「Brio」をベースとして新たに発表した小型セダン「Brio Amaze」、日産自動車の「Almera(日本名ラティオ)」、スズキの「スイフト」など、タイで「エコカー」(ガソリン車は排気量1.3L以下、ディーゼル車は同1.4L以下で、Euro4以上の排ガス規制に対応し、燃費は20.0km/L以上)と認められる小型車だ(図2)
 これまでタイでは、ピックアップトラックが主力だったが、買いやすい入門車種が増えたため、乗用車の販売が伸びている。実際、ミラージュの価格は38万バーツ(1バーツ2.9円換算で110万円)、Brio Amazeは45万4000バーツ(132万円)、Almeraは42万9000バーツ(124万円)からと、ピックアップトラックに比べて半額近い。

以下、『日経Automotive Technology』2013年3月号に掲載
図1 タイ最大の自動車展示即売会「Motor Expo 2012」
図1 タイ最大の自動車展示即売会「Motor Expo 2012」
主力車種「ミラージュ」の効果で盛況の三菱自動車ブース。
図2 日系メーカーがエコカーを投入
図2 日系メーカーがエコカーを投入
(a)日産自動車の「Almera」、(b)ホンダの「Brio Amaze」、(c)三菱自動車の「ミラージュ」。