「デトロイトモーターショー」は米国の市場がほかの国とは異質であることを見せつけるショーであった(図1)。大きな喝采を浴びたのは米国の国内向けで、ほとんど輸出する気のないスポーツカーである米GM社の「Chevrolet CorvetteStingray」。大型ピックアップトラックの全面改良も目立つ。海外メーカーが世界初登場させたクルマには、最高速度300km/h超のものまであり、米国市場の高性能車志向をうかがわせた。

図1 「デトロイトモーターショー」の会場
図1 「デトロイトモーターショー」の会場
相変わらず大型の「Ford Crown Victoria」タクシーが走る。

 米国の自動車業界は前向きな雰囲気に覆われている。一時は倒産にまで追い込まれた米GM社、米Chrysler社は最悪期を脱した。シェールガスが次々と発見され、天然ガスの輸入国から輸出国になる見通しがついた。もうガソリンの供給に不安感はなくなった。本当は天然ガスとガソリンの価格構造は違うのだが、確かに波及効果がないわけではない。燃料価格が低下するという期待感は、米国メーカーの得意とする大型車、スポーツ車も“アリ”という雰囲気を盛り上げている。小型車、軽自動車が主役の日本とは違う空気が流れている。

以下、『日経Automotive Technology』2013年3月号に掲載