日本精工(NSK)は、自動変速機用に、摩擦損失を減らし、軽くしたシェルニードル軸受を開発した(図1)。自動変速機にまだ多数ある滑り軸受を転がり軸受に置き換えることを狙う。

 自動変速機のうち、入力軸や出力軸全体を支持し、スラスト荷重も受ける軸受は、アンギュラ型の玉軸受、テーパころ軸受などの転がり軸受だが、油ポンプ、遊星歯車機構などにある、スラスト荷重を受けない小さな軸受は、滑り軸受やシェルニードル軸受を使っている。しかも現状では有段の自動変速機の場合で滑り軸受が5~10個、シェルニードル軸受が2~4個と、滑り軸受が主流。コストではシェルニードル軸受は滑り軸受にかなわないためだ。
 しかし、滑り軸受は転がり軸受に比べて摩擦損失が大きい。また、焼き付きを防ぐために多くの潤滑油を必要とし、潤滑油の攪拌(かくはん)抵抗も大きくなる。燃費向上の要求に応えて、滑り軸受を転がり軸受に置き換えたい。

以下、『日経Automotive Technology』2013年3月号に掲載
図1 NSKが開発したシェルニードル軸受
図1 NSKが開発したシェルニードル軸受
自動変速機内の滑り軸受を転がり軸受に置き換える。