グローバルセンスは、視野を世界へと広げるために必要なさまざまなテーマを、全ての技術者を対象にして紹介するコラムです。2013年2月号からは、EMS/ODM関連の情報サービスを提供するEMSOne編集長の山田泰司氏に、グローバルの最新動向について連載していただきます。

 「ストライキの発生を防ぐには、どうしたらよいでしょうか」。中国工場を運営する日系企業の方から筆者が受ける質問の中で、今、圧倒的に多いのがこれです。会社側がストライキの発生をゼロにしたいという気持ちは理解できますが、そもそもストライキ権は労働者の権利の1つなので、日本の工場であっても完全にゼロにすることは不可能です。

 重要なことは、現実に即した対策を採ることではないでしょうか。そのためには発想の転換が必要です。ストライキを起こさせない労務管理ではなく、「たとえストライキが起こっても、工場運営を含めた経営へのインパクトを最小限に抑えるための労務管理」を実践することです(図1)

 最終回の今回は、筆者が在籍するキャストグループがこれまでに解決した事例から効果的な方法を紹介します。
〔以下、日経ものづくり2013年1月号に掲載〕

図1●ストライキに関する現実的な対策
図1●ストライキに関する現実的な対策
どうすればストライキの発生をゼロに抑えられるかを考えても、完璧な対策は出てこない。それよりも、ストライキが発生した場合に、負の影響をできる限り抑えるには何をすべきかを考えた方が現実的である。

前川晃廣(まえかわ・あきひろ)
キャストコンサルティング 取締役・上海法人総経理
証券アナリスト・中小企業診断士。1964 年生まれ。1981年に初訪中し、1987年に復旦大学国際政治学部に1年間国費留学。1989年に慶応義塾大学政治学科を卒業し日本興業銀行に入行、上海支店課長・広州首席代表を歴任。2008年にキャストコンサルティング取締役、2011年に上海法人総経理に就任。中国関連の法務・労務・税務・M&Aのコンサル業務を展開しながら、日中両国で年60回の講演もこなす。