東京電力福島第一原子力発電所での利用を想定した国産のロボットが相次いで登場している。2012年11~12月に東芝、三菱重工業、日立エンジニアリング・アンド・サービス(本社茨城県日立市)/日立建機がそれぞれ新型ロボットを発表した。

 これまでも建屋内の状況確認や放射能の測定のために米国製のロボットが投入されている。しかし「今後は手すりや配管の切断、障害物の除去、除染や補修といった、建屋内での復旧のための作業が相当な勢いで増えていく」(三菱重工業原子力事業本部原子力機器設計部装置設計課課長の細江文弘氏)。いずれの新型ロボットも、こうした建屋内の作業を担うことを目的に開発されたものだ。

4足歩行型や双腕型が競う

 東芝が開発したロボットは、4足歩行が特徴で、障害物を避けたり不整地を踏破したりする性能が高いとする(図1)。最大で20kg の機材を運びながら階段を昇り降りできる。

 その性能を生かし、例えばカメラを搭載した小型走行車を調査箇所まで運搬したり、小型走行車の代わりに多関節型ロボットアームなどを装備して各種作業を実施したりすることができる。
〔以下、日経ものづくり2013年1月号に掲載〕

図1●東芝の4足歩行ロボット
図1●東芝の4足歩行ロボット
左が本体で、主な仕様は以下の通り。外形寸法は長さ624×幅587×高さ10 66mm。質量65kg。最大移動速度1. 0km/ 時。可搬質量20kg。段差 220mmまでの階段の昇降が可能。右がカメラなどを搭載した小型走行車。