14nm世代以降も平面トランジスタを維持


 スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器の心臓部を担うSoC(system on a chip)。その低コスト化と高性能化を担う微細化技術に新たな選択肢が加わった。ここにきて伊仏STMicroelectronics(ST)社が28nm世代のSoC向けに量産化した、完全空乏型SOI(fully depleted silicon on insulator:FDSOI)技術だ。


 FDSOI技術を使うと、10nm世代前後までトランジスタを立体化することなくSoCの微細化を続けられる。既存の半導体製造技術や設計技術を踏襲できるため、大きなコストを費やさずに微細化を継続できる。SoCの微細化の恩恵を今後も長く享受したいと願う機器メーカーなどにとっては、有力な手駒となりそうだ。

コストや性能でFinFETに勝る


 FDSOIは、トランジスタのボディ(チャネル)部とSi基板を薄い酸化膜(buried oxide:BOX)で隔て、ボディ部を数nm厚にまで薄くすることで、チャネルを完全に空乏化させる技術である。チャネルを立体化して空乏化させる3次元トランジスタ(FinFET)と同様に、ゲート長が短くなるにつれてリーク電流が増える、いわゆる短チャネル効果を抑える強力な手段となる。

『日経エレクトロニクス』2012年12月10日号より一部掲載

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