中国、ベトナム、インドネシア、ミャンマーに、この5年間で12カ所もの工場を立ち上げた企業がある。スマートフォン向けなどにスピーカやヘッドホン、イヤホンの生産を急拡大するフォスター電機だ。直近の2011年は3カ所、2012年に入って4カ所の工場を稼働させ、それまでの年2カ所のペースをさらに加速している(図)。

 同社は自社ブランドも持つが、電子機器メーカー向けのEMS/ODM(電子機器の受託生産サービス/相手先ブランドによる設計・生産)事業が主力である。特にスマートフォン向けは「世界的な需要増が見えていたため、それに対応できるように体制整備を進めた」(同社上席執行役員経営情報戦略室長兼戦略開発本部長の山口卓郎氏)。顧客企業に求められる生産量を確保していった結果、業績も大きく伸びた。同社は米Apple社向けの供給も担当しているといわれる。

 この成長を支えているのが2009年に稼働させたBOM(Bill of Materials、部品表)システム「Felix」である。同システムでは、全工場のBOMの一括管理を実現。同一製品や類似製品の複数工場での増産に迅速に対応可能で、かつ工場ごとの変更を許容するという、相反する要素の両立に成功した。

〔以下、日経ものづくり2012年12月号に掲載〕

図●フォスター電機の工場
ここ数年、次々と工場を増設している。最近の工場の多くは、建屋などを借りる「レンタル工場」を利用することで、短時間に稼働させている。
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