車載電池を製造するに当たって、最大のボトルネックになっているのが電極の積層工程である。1台分の電極を積み重ねるのに、1時間以上かかる。長野オートメーションは、半分の時間で積層できる装置を開発した。同時に2カ所から電極を供給する比較的単純な仕組みを考えた。十字形の積層台に2個のL字形アームを対称に配置する。(本誌)

 電気自動車(EV)などに搭載するLiイオン2次電池を生産する上での大きなボトルネックが、電極を積層する工程である。四角に切ったシート状の正極とセパレータ、負極を順に重ねる工程で、数十μmと薄いものを速く置くのが難しい。加えて、重ねる位置がずれると正極と負極が短絡してしまう。このため正確な位置決め機能もいる。
 長野オートメーションは電池の注液装置などを手掛けるメーカーで、時間当たり2倍の電極枚数を積層できる製造装置を開発した(図)。正極、セパレータ、負極を合わせて40枚程度重ねて1セルとする場合、60秒程度で4セル分造れる。車両1台に100セル程度載せると考えると、1台分を30分以下で造れる。
 従来品は3本のロボットハンドで正極と負極、セパレータを順につかんで置く形で、60秒程度で2セル分しか造れなかった。これだと1台分で1時間以上かかる。

枚葉式と袋詰め式が今後の主流

 電極の重ね方には大きく4種類ある。開発品は(1)枚葉(まいよう)式と呼ばれる方式に対応したもので、木の葉を1枚ずつ重ねるイメージからこう名付けた。枚葉式に加えて、(2)袋詰め式、(3)つづら折り式、(4)捲回(けんかい)式がある。
 当社は(1)の枚葉式と(2)の袋詰め式が今後の車載電池の主流になるとみて力を注いで開発している。ともにラミネート型と呼ばれる電池セルの形に対応する上、1セル当たりの電池容量を大きくしやすい。

以下、『日経Automotive Technology』2013年1月号に掲載
図 電極積層装置の外観
図 電極積層装置の外観
長野オートメーションが開発。従来品の2倍の枚数を重ねられる。