水冷エンジンではウオータポンプにより冷却水を循環させ、ラジエータで熱を奪うことで水温の上昇を防ぐ。近年ラジエータには、燃費向上や歩行者保護のためのレイアウト性向上を目指した小型化、低コスト化の要求が強い。カルソニックカンセイにラジエータの最新動向を聞いた。

 ラジエータは、チューブとフィンからなるコアと、その両側にあるタンクで構成する(図)。以前は、コアの素材に銅や真鍮が使われていたが、現在はコアをアルミニウム合金、タンクを樹脂製とするケースが多い。カルソニックカンセイは1983年にコアにアルミ合金を採用したラジエータを世界で初めて量産化した。
 実用化に当たって課題になったのは、アルミ合金を効率よく接合し、しかも腐食を抑える技術であった。生産技術では、不活性ガス雰囲気においてフッ素系化合物のフラックスを使って、アルミ表面の酸化被膜を破って接合する方法の開発により、従来の真空炉や洗浄工程が不要になり、低コストに作れるようになった。
 なお、腐食防止にはチューブに使う心材(3000系アルミ合金)の両側に犠牲材(7000系)とろう材(4000系)を積層したクラッド材がポイントになる。チューブ内部の水に対して犠牲材の層が最初に腐食し、横方向に腐食が進むことで心材を保護する。フィン側のろう材も犠牲材としての役割を持つ。

以下、『日経Automotive Technology』2013年1月号に掲載
図 ラジエータのフィンとチューブ
図 ラジエータのフィンとチューブ
左のフィンと右のチューブをろう付けしてラジエータのコアを造る。チューブの内側を冷却水が流れ、フィンによって放熱する。