スマートフォンなどに向けた経路案内サービスを手掛けるナビタイムジャパンは、HTML5に対応したWebブラウザ上で動作する経路案内機能を試作した。HTML5は今後の標準規格。異なるOSを搭載した携帯端末に経路案内サービスを提供しやすくなる。

 HTML(Hyper Text Markup Language)5は、Webブラウザを記述する言語の最新版で、標準化が進められている。現時点で仕様の多くが固まりつつあり、米Google社や米Apple社などが自社製のWebブラウザに積極的に取り入れつつある。
 ナビタイムジャパンは2012年10月、HTML5に対応したWebブラウザ上で動く経路案内機能を試作し、発表した(図)。Googl e社のタブレット端末「Nexus7」に搭載された同社製のWebブラウザ「Chrome」上で動かした。2015年ごろの実用化を目指す。
 HTML5は現行の仕様と比べてスマートフォンなどの携帯端末で使いやすくしたことに加え、位置情報を活用したサービスなどを実現しやすい。ナビタイムの試作品では、Nexus7から携帯通信網を使って自社のデータセンターにアクセスし、端末の位置をWebブラウザ上の地図に表示しつつ経路を案内する。

車載器の開発リスクを減らす

 近年、スマホやタブレット端末などに向けた経路案内サービスが、車載カー・ナビゲーション・システムを代替しつつある。HTML5の採用が進めば、そうした“スマホナビ”の普及を後押ししそうだ。ナビタイムのようなソフトウエアベンダーと、車載器の純正品を手掛けるメーカーに利点がある。
 ソフトウエアベンダーが経路案内サービスをHTML5に対応させると、開発工数を大きく減らせる可能性がある。

以下、『日経Automotive Technology』2013年1月号に掲載
図 ナビタイムジャパンが試作したHTML5カーナビ
図 ナビタイムジャパンが試作したHTML5カーナビ
Google社のタブレット端末「Nexus7」を使った。