ドイツZF社は全世界の売上高の10%を中国で上げている。特にシャシー部品をサブ組み立てして納める“アクスルシステム”には力を注いでいる。手始めにドイツメーカーの中国生産車に占めるシェアが着々と増えてきた。

 ドイツの部品メーカーであるZF社が、日本の自動車メーカーにとって使い勝手のよいメーカーになってきた。15年前、ZF社はドイツで変速機を、日本のメーカーは日本で自動車を生産していた。ZF社から変速機を買う場合、遠いドイツから運んでくる必要があった。ユーロ建てで値段も高かった。
 その様相が大きく変わった。ZF社、日本メーカーともに生産拠点を世界中に広げた。ZF社は中国に力を入れており、工場は米国の12カ所、インドの6カ所を上回って20カ所ある。2005年には上海にR&Dセンターを開設した。中国にある完成車メーカーに対する窓口となり、ドイツの本社と協力して開発することになる。日本から受注した案件も、上海のR&Dセンターが担当することが多くなりそうだ。
 同社の販売額のうち欧州生産が占める割合は2007年の72%から落ち続けて現在は61%、2017年には56%になる。代わってアジア、オセアニア、アフリカが22%、北米、南米が22%というシェアになる(図)。グループ全体の2011年度売上高は155億ユーロ(1ユーロ103円換算で1兆6000億円)。ZF社の中国での売上高は、前年比14%増の15億ユーロ(1500億円)だったから、10%近くを中国で得ていることになる。

以下、『日経Automotive Technology』2013年1月号に掲載
図 ZF社の地域別に見た売上高
図 ZF社の地域別に見た売上高
欧州を減らし、ほかの地域を増やす。