富士重工業は、SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の「フォレスター」を全面改良して11月13日に発売した。同車種は北米や中国で人気が高く、「レガシィ」「インプレッサ」に次ぐ同社の主力車種となっている。新型フォレスターはSUVとしての性格を強め、燃費も向上させた。

 フォレスターは2011年の同社の北米での販売台数26万7000台のうち、7万5000台と3割近くを占めるほか、中国市場でも2011年の販売台数6万台弱のうち約3万台と半分以上を占めるなど、富士重工業の稼ぎ頭の一つになっている。同社は全面改良によって、2013年のフォレスターの世界販売台数を2012年の15%増と見込んでいるという。
 そうしたフォレスターの全面改良のコンセプトは「SUVとしての本質的な価値の実現」。SUVは、乗用車のような快適性と、オフロード車の悪路走破性を両立し、全高の高さを生かした使い勝手を兼ね備えているのが魅力。フォレスターの全面改良に先立って、「インプレッサ」の悪路走破性を高めた「XV」を発売したことで、新型フォレスターは、よりSUVとしての特徴を際立たせる必要に迫られた。
 そのために、新型フォレスターでは、従来通りインプレッサのプラットフォームをベースとしながらもパッケージングを一から見直した(図)。具体的には、これまでよりも全高を20mm上げて、1695mmとするとともに、運転席のアイポイントを34mm上げて、見晴らしを良くした。計算上は先代よりもヘッドルームが小さくなるが「先代で十分過ぎるほど確保していたので問題はない」(同社)。従来は、運転席に座るとややこもった感じがするというユーザーからの意見があったという。

以下、『日経Automotive Technology』2013年1月号に掲載
図 パッケージングの改善
全高を上げてアイポイントを34mm高めたほか、ホイールベースを延長して後席スペースを拡大した。
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