Liイオン2次電池や電気二重層キャパシタといった新世代の蓄電装置を減速エネルギの回生に活用しようという動きが目立ってきた。減速時にだけオルタネータで発電することで、エンジンの負担を減らし、燃費の5~10%向上につながる。ハイブリッドシステムよりコストが低いので、幅広い車種への普及が見込め、蓄電装置の低コスト化にもつながりそうだ。

 クルマの燃費を向上させるために、減速時の運動エネルギを積極的に活用しようという動きが活発になってきた(図)。スズキは2012年9月に発売した新型「ワゴンR」に、Liイオン2次電池を使った車両の減速エネルギ回生システム「エネチャージ」を搭載した。マツダは11月に発売した新型「アテンザ」に、キャパシタを使った減速エネルギの回生システム「i-ELOOP」を採用した。2012年8月に部分改良した日産自動車の「セレナ」は、鉛2次電池を2個搭載し、オルタネータで回生した減速エネルギを発電だけでなく駆動力の補助にも使う「S-HYBRID」と呼ぶ機能を搭載した。
 回生エネルギの活用は、これまでもハイブリッド車では進んでいたが、通常のエンジン車では、回生したエネルギを蓄える2次電池の容量に制限があるため、活用は限定的だった。これに対し最近発売された新型車では、鉛2次電池に加えて回生専用の蓄電装置を備えることで、従来以上に多いエネルギの回生を図っている。ただし、どんな種類の蓄電装置を採用するかは、3社で見事に判断が分かれた。違いはどこから生じたのだろうか。

以下、『日経Automotive Technology』2013年1月号に掲載
図 減速エネルギ回生専用の蓄電装置を備えた最新車種
図 減速エネルギ回生専用の蓄電装置を備えた最新車種
(a)スズキの「ワゴンR」、(b)マツダの「アテンザ」、(c)日産自動車の「セレナ」