10月の「日産先進技術説明会」「トヨタ環境技術説明会」、11月の「Honda Meeting 2012」。各社が秋に今後の技術を説明する会を開くことが恒例になってきた。ホンダがこれまで自社のハイブリッドシステムとして推進してきたIMA(Integrated Motor Assist)を捨てることを匂わせたほか、日産自動車は長い間夢の技術だったステア・バイ・ワイヤを実用化すると発表した。サプライズの多い内容になった。

 ホンダは11月に開いた「Honda Meeting 2012」にHEV(ハイブリッド車)用システムを複数展示した。今回初めて公開したのは4気筒1.5Lのアトキンソンエンジンと7速DCT(Dual Clutch Transmission)を使った1モータの「i-DCD(intelligent-Dual Clutch Drive)」。「フィット」級の車種で、近く商品化するという。
 乾式単板のクラッチを使った7速のDCTの奇数段のカウンタ軸の端に22kW以上のモータを取り付ける(図)。加速、高速クルーズ時はクラッチをつないでDCTとして機能する。それにモータのアシストを加えてパラレルハイブリッドとすることもできる。発進、回生、低中速クルーズのときはクラッチを2個とも切ってエンジンを止め、EV(電気自動車)として走る。
 1.5Lの4気筒アトキンソンサイクルエンジン、ブルーエナジー製のLiイオン2次電池と組み合わせる。CVT(無段変速機)と1モータを組み合わせた従来の「IMA(Integrated Motor Assist)」に対して、加速性能を15%以上、燃費を30%以上向上できる。小型車に向いたシステムで、長いスパンで見ると、「IMA」を置き換えていくことになる可能性が高い。

以下、『日経Automotive Technology』2013年1月号に掲載
図 1.5Lのアトキンソンエンジンと「i-DCD」
図 1.5Lのアトキンソンエンジンと「i-DCD」
クラッチの上に2個並ぶのはクラッチの電動油圧アクチュエータ。