組み立てやすい・分解しやすい設計は、工場の海外展開が進む中、再び注目を集めています。「再チャレンジ 組立性・分解性設計」では、ソニーで組立性・分解性設計の体系化に取り組んだ筆者が、そのメカニズムと考え方について伝授します。

設計で動作時間は減らせる

 前回(2012年10月号)は、組立性・分解性設計が発展してきた経緯と基本的なメカニズムについて取り上げた。組み立てと分解の動作には規則性があり、部品の形状や結合方法、配置の仕方が組み立て/分解動作の所要時間に大きな影響を与えることを学んだ。

 今回は、動作時間に影響を与える設計上の要因と、その検討手順や対策例について、さらに詳しく見ていきたい。

 まず、前回の最後の方で触れた、組立性・分解性設計に欠かせない3つの視点について復習しよう。図1は、組み立て/分解の動作、それらの所要時間の変動要因と、それらに関連する設計要求事項(組立性・分解性設計に求められる事項)についてまとめたものだ。

 例えば、組み立て動作[1]の「つかむ」の変動要因には、「部品形状」「部品性質」「部品寸法」「部品取り扱い」の4つがあるが、設計要求事項として見ると、どれも「部品」の設計に含まれる。こうして全ての動作の変動要因を見ていくと、組み立ても分解も最終的に「部品」の設計(パーツデザイン)、「結合」の設計(ジョイントデザイン)、「配置」の設計(フレームデザイン)の3つに集約できる。

〔以下、日経ものづくり2012年11月号に掲載〕

図●組立性・分解性設計の要求事項
組み立てと分解の動作それぞれについて変動要因を特定し、さらに設計要求事項に落とし込んだ。組み立てでも分解でも、設計要求事項は「部品」「結合」「配置」の3つに分類できる。
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山際康之(やまぎわ・やすゆき)
東京造形大学教授
東京大学博士(工学)取得。ソニー入社後、「ウォークマン」などの製品設計を経て、組立性・分解性評価設計法の開発、ビジネス化を推進後、製品環境グローバルヘッドオフィス部門部長。現在、東京造形大学学校法人理事、東京大学人工物工学研究センターなど兼任。著書に『組立性・分解性設計』(講談社)、『サステナブルデザイン』(丸善)など。リサイクル技術開発本多賞、日本生産管理学会賞、日本設計工学会武藤栄次VP賞など受賞。