NECパーソナルコンピュータ(本社東京)が2012年8月に発売したノートパソコン「Lavie Z」が、驚異の軽さで注目を集めている。13.3インチ型液晶を搭載しながら875gと、同等クラスの他社製品がどれも1.1kg前後なのに比べ200g以上も軽い。

 その秘密の1つが、底板に採用したマグネシウム・リチウム(MgLi)合金である(図)。従来のMg 合金(AZ91)からMgLi 合金にしたことによる軽量化の効果は10数g程度だが、「数gを競うウルトラブックとしては飛び道具的な効果」(同社商品企画本部コンシューマ商品企画部の中井裕介氏)なのだ。

 MgLi合金はAZ91と比べて、縦弾性係数は同等以上で、密度は1.36g/cm3と約25%も軽い。ただし、素形材の製造が難しく、かねて存在は知られていたが、ほとんど商業利用されていなかった。

 Lavie Zの開発開始時は量産技術が未確立で、「素材および加工技術の開発と製品設計を同時に進める難しい舵取りが必要だった」(同氏)。量産における問題の1つがプレス時の割れ。当初はプレス後の表面研磨で浅い割れは消せると考えていたが、実際には磨いても消えなかった。

〔以下、日経ものづくり2012年11月号に掲載〕

図●NECパーソナルコンピュータのノートパソコン「Lavie Z」
図●NECパーソナルコンピュータのノートパソコン「Lavie Z」
質量875g、厚さは最厚部で14.9mmと、13.3インチ液晶型搭載機としては、「世界最薄・最軽量」(同社)。大きさは11インチ型のノートパソコンよりやや大きい程度に抑えている。価格は下位モデルが10万円程度から。