ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)の駆動用モータに使うネオジム-鉄-ボロン(Nd-Fe-B)系磁石でも、ジスプロシウム(Dy)を全く使わない開発、すなわち「Dyフリー化」が進みそうだ。

 Nd-Fe-B系磁石は、高温になると保磁力が低下するので、それを抑えるためにDyを添加することが多い。添加量は使用温度で異なり、HEV/EVの駆動用モータ向けが7~10質量%、エアコン用圧縮機のモータ向けが4~5質量%、HDDのアクチュエータ向けが1~2質量%だ。

 最近になってDyを全く使わない磁石も登場しているが、添加量が少ない用途向けに限られていた。日本の自動車メーカーとしては中国の政策によって供給量や価格が左右されるDyの使用を避けたいが、性能上ゼロにすることが難しい。そんな中、Dyフリー磁石として注目されるのがダイドー電子(本社岐阜県中津川市)が開発した「NEW NEOQUENCH-D」である。

〔以下、日経ものづくり2012年11月号に掲載〕