今回のCEATECでは、メーカー各社がテレビやスマートフォンといった、これまで主役を演じてきた機器から距離を置く様子が見てとれた。家電メーカーはテレビの不振とスマートフォンへの出遅れ、電子部品メーカーは、スマートフォン依存が課題となっているからだ。両者は、エネルギー分野を中心に、新市場の創出を急ぐ。手探りながらも、進むべき道が見えてきた。

課題解決を模索する家電・電子部品メーカー

 依然として苦しい状況は続いているが、新市場の芽は着実に育ちつつある──。

 2012年10月2~6日に、千葉県・幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2012」。約16万人の来場者を集めた今回のCEATECは、日本の家電メーカーと電子部品メーカーの現状を、鮮明に映し出す展示会となった。両者が抱える大きな課題が白日の下にさらされた一方で、その解決に向けて新機軸を打ち出そうとする動きが目立った。

 家電メーカーが抱える課題の一つが、これまで“家電の王様”として君臨してきたテレビの不振だ。今回のCEATECでは、シャープとソニー、東芝、パナソニック、日立製作所、三菱電機の大手6社の中で、テレビをメイン・ステージに据えたのはソニー1社のみ。日立製作所に至っては、テレビの展示そのものを取りやめたほどである。

 もう一つの課題が、テレビに代わる市場の牽引役に成長したスマートフォンへの出遅れだ。今回のCEATECで、最も存在感を示したのは、初出展となる中国Huawei Technologies社だった。同社の展示ブースでは、ファッション・ショー形式で主力機種を紹介し、展示会場の最寄駅となるJR海浜幕張駅では構内を広告で埋め尽くすなど、日本市場攻略に向けた意気込みを強く示した。

 業績が比較的好調な電子部品メーカーも、スマートフォンに大きく依存しているという課題を抱える。付加価値が高い最先端部品が、スマートフォンにしか採用されていないからだ。例えば、村田製作所が「0201」(0.25mm×0.125mm)サイズの積層セラミック・コンデンサやチップ・インダクタを出展するなど、各社が民生機器の小型・薄型化を実現するための最先端部品を披露したが、こうした部品を積極的に採用するのは、米Apple社など数社に限られる。特定の端末メーカーに大きく依存すれば、そのメーカーの業績に大きく振り回されかねない。

『日経エレクトロニクス』2012年10月29日号より一部掲載

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