欧州の自動車メーカーでは、溶接に加えて、鋼板同士や鋼板とアルミニウム合金部材を接着するケースが増えている。部材同士を点でつなぐスポット溶接に対して剛性が上がる、同じ剛性でよい場合は材料を薄肉化して軽くできるメリットがある。エポキシ系の構造用接着剤を供給するダウ・ケミカル日本に最新の適用例を聞いた。

 軽量化による燃費向上を目指し、自動車の車体は材料と工法の両方で改良が進んでいる。材料では鋼板の高張力化が顕著、高級車ではアルミニウム合金製ボディも増えている。さらに、単一材料でボディを構成するのではなく、複数の材料を適所に使う“マルチマテリアル化”を採り入れるクルマもある。
 これに伴い、各部材を接合する技術も進化している。従来の鋼板ではスポット溶接が主流だったが、部材同士を点で接合するため、ボディ剛性や衝突安全性を向上させるためには、多数の溶接点が必要になる。また、鋼板とアルミ合金のような異種材料を接合することは難しい。
 そこで登場したのが、点ではなく、線で接合するレーザ溶接や接着などの接合技術だ。このうち、接着剤は設計を大きく変えずに対応でき、鋼板同士はもちろん、異材材料の接合が可能で、小さな部品や肉薄の素材にも適用できる。また、ボディ構造全体で剛性が高まり、その結果として部材を薄肉化することで、軽くしたり、スポット溶接点数を最大で50%程度削減できる効果もある。

以下、『日経Automotive Technology』2012年11月号に掲載