自動車メーカーを中心とする業界団体が策定した、スマートフォンとディスプレイ付き車載器を連携させる標準仕様「MirrorLink(ミラーリンク)」。パナソニックは同仕様に対応したスマホと車載器を開発し、後者をトヨタ自動車に納入した。

 MirrorLinkは、欧州系自動車メーカーやトヨタ自動車、ホンダなどに加えてフィンランドNokia社といったスマートフォンメーカーが入った団体「Car Connectivity Consortium(CCC)」が策定した仕様である。スマートフォンの画面をタッチパネルを搭載したディスプレイ付き車載器に表示し、自動車メーカーの安全に対する考えに基づいて車内でスマホを操作しやすくする(図)。
 パナソニックは2012年8月、MirrorLinkに対応したディスプレイ付き車載器「スマホナビ対応ディスプレイ」と、スマートフォン「ELUGA V」を国内で発売した。車載器についてはパナソニックがトヨタに納入し、トヨタが自社ブランドで販売する純正品である。純正品でのMirrorLink対応品は「世界で初めて」(同社)。市販品ではアルパインがほぼ同時期に発売した。

“頭脳”はスマホ

 パナソニックがMirrorLinkへの対応に力を注ぐのは、車載器の純正品ビジネスを強化するためである。MirrorLinkの仕様は自動車メーカーの要望に基づいて決めたものである。今後、多くの自動車メーカーが同仕様の対応品を求める可能性が高い。
 自動車メーカーはMirrorLinkを、二つの“溝”を埋めるために作った。一つが、スマホに対する自動車メーカーの考えとユーザーの利用実態の間の“溝”である。

以下、『日経Automotive Technology』2012年11月号に掲載
図 スマホの画面を車載ディスプレイに表示
図 スマホの画面を車載ディスプレイに表示
MirrorLinkは、自動車メーカーが中心となり「進化の早い民生機器を車内でどう安全に使うか」という問いに対する答えを具現化した仕組み。