ホンダは2012年9月に発売した米国仕様の新型「アコード」に、アルミニウム(Al)合金と鋼をFSW(摩擦かくはん接合)で接合したサブフレームと、ロジウム(Rh)の使用量を半分に減らした触媒を採用したと発表した。

 従来のアコードでは、エンジンやステアリングギアボックスを井桁型の鋼製サブフレームに取り付けており、直列4気筒エンジンとV型6気筒エンジンの仕様の違いは、サブフレームに取り付けるダイカスト成形のAl合金製部品を変えることで対応していた。このAl合金製部品はボルト締めにより取り付けていた〔図(左)〕。
 これに対し新型アコードではサブフレームを軽量化するため、サブフレームの後半部分をほとんどAl合金製とした〔図(右)〕。鋼製の部分は直列4気筒、V6で共通とし、Al合金部分を変えて使い分けるのは従来型アコードと同じだ。前半の鋼製部分と、後半のAl合金部分の接合にFSWを使った。
 Al合金の部分を増やしたことで、サブフレームの質量は25%(6kg)軽くできた。クロスメンバを大型化し、鋼製の部分とAl合金製の部分の接合強度も上がったため、サスペンションの取り付け点の剛性も20%向上した。
 FSWは、重ねた金属の上から、先端に突起のある円筒形状のツールを回転させながら押し付け、ツールの回転により発生する摩擦熱によって金属を塑性流動状態にして接合するという手法。例えば電車の車両の製造など、Al合金同士の接合では多く使われてきたが、Al合金と鋼という異種金属の接合に使ったのは今回が初めてだ。異種の金属同士を接合するメカニズムについて同社は、Al合金と鋼の間に金属間化合物(Fe4Al13)が生成され、金属結合により接合していると説明する。

以下、『日経Automotive Technology』2012年11月号に掲載
図 従来型「アコード」(左)と新型「アコード」のサブフレーム
図 従来型「アコード」(左)と新型「アコード」のサブフレーム
従来型アコードは、Al(アルミニウム)合金ダイカストの部品を鋼製のフレームにボルト締めで固定しているが、新型のフレームはFSW(摩擦かくはん接合)でAl合金部分と鋼部分を接合している。