2012年8月31日~9月5日にドイツ・ベルリンで開催された「IFA 2012」は、欧州の景気低迷にもかかわらず、過去最大の出展規模となった。スマートフォンやタブレット端末の最新機種から、「Windows 8」搭載端末、そして白物家電まで。多くの展示会場で圧倒的な存在感を示したのは、米Apple社との激しい特許係争のさなかにある、韓国Samsung Electronics社だった。

新製品を一挙に投入したSamsung社

 2012年8月29日夜。「IFA 2012」を取材するために世界中からドイツ・ベルリンに集まった報道記者たちは、IFA会場からは少し離れた市内のイベント会場へと急いでいた。韓国Samsung Electronics社が同日午後7時から予定していた「Samsung Mobile Unpacked 2012」に参加するためだ。モバイル端末の新製品をIFA開催に先立って発表する場として、同社が用意したプライベート・イベントである。

 この5日前の8月24日に米国では、スマートフォン関連の特許をめぐり、Samsung社が米Apple社の特許を侵害したとする判決を連邦地方裁判所が下していた。Samsung社が支払いを命じられた賠償金は10.5億米ドル(約825億円)に達する。その逆風を跳ね返すかのように、同社はこの自社イベントで新製品を立て続けに幾つも披露した。モバイル端末市場の主役は我々だ、と言わんばかりに──。

「すべての製品領域でトップに」

 翌8月30日にIFA会場で催した記者発表会でも、Samsung社は攻めの姿勢を貫いた。登壇したBoo-Keun Yoon氏(同社 Consumer Electronics Division,President)は、「2015年には、デジタル家電のすべての製品領域で我々が世界首位に立つ」と宣言。同社はこの場でも、前日に披露したモバイル端末の新製品を改めて強くアピールした。その目玉として紹介したのが、「GALAXY Note II」と「GALAXY Camera」だ。いずれも、米Google社のソフトウエア基盤(OS)の最新版「Android 4.1」を搭載した端末である。

『日経エレクトロニクス』2012年10月1日号より一部掲載

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