生産性を「能力」と「効率」で指標化する
ものづくりの現場で今、生産性の向上がかつてないほど強く求められている。皆さんも痛切に感じていることだろう。出口の見えない円高とデフレは、製品価格の下落と、それを補うための製品数の拡大をもたらしている。そして、製品数の拡大は、開発期間や納期の短縮となって現場にのしかかってくる。企業努力によって円高やデフレを収束させることはできないので、現場でできる有効な対策として生産性向上が期待を集めているのである。
一方で生産性向上に対して手詰まり感を覚えている方も多いと思う。実際、筆者がコンサルティングをしている企業からも「生産性向上の新たなネタが見つからない」という声をよく聞く。生産性の改善活動は、既に多くの実績が積み上がっているからだ。
2年で生産性が2倍に
私たちは生産性向上には広大なフロンティア、すなわち未開拓領域が残されていると考えている。だが、生産性には多数の要因が複雑に関係しているため、それを高めるための有効な攻め口を見つけることは難しい。改善活動で成果を上げられないケースでは、その企業なり現場なりで生産性を決定づける要因を捉えきれていないことが多い。
本連載で紹介する「VPM(Value Producing Management)」は、こうした複雑に要因が絡み合っている生産性を、系統的に捉えて科学的に分析し、数値として見える化する改善手法である(図)。数値化すれば、改善活動の進捗度や得られた成果を一目で把握できる。成果がはっきり分かると活動に参加する現場の人たちにとって強い動機付けとなるので、全員参加の活動として取り組みやすい。
〔以下、日経ものづくり2012年10月号に掲載〕
テクノ経営総合研究所 ものづくりセンター長