組み立てやすい・分解しやすい設計は、工場の海外展開が進む中、再び注目を集めています。「再チャレンジ 組立性・分解性設計」では、ソニーで組立性・分解性設計の体系化に取り組んだ筆者が、そのメカニズムと考え方について伝授します。

組み立て/分解動作の規則性を知ろう

 組み立てやすい、あるいは分解しやすい設計、すなわち「組立性・分解性設計」が今、注目を集めている。工場の海外展開が進む中、熟練していない作業者でも組み立てやすい製品設計に対するニーズが一層、高まっているからだ。製品のリサイクルやリユースに対する社会的要求の高まりも、組立性・分解性が注目される理由の1つとなっている。

 筆者は前職において、AV機器の設計に従事した後、組立性・分解性の評価設計法の開発に携わってきた。これから3回にわたり、組立性・分解性設計の方法論について解説していく。その第1回である今回は、日本における組立性・分解性設計の発展の経緯を振り返りながら、その意義と基本的なメカニズムについて取り上げたい。

 組立性・分解性設計はこれまで、日本でどのように発展してきたのだろうか。まずは組立性設計から見ていこう(図)。

〔以下、日経ものづくり2012年10月号に掲載〕

図●日本における組立性設計の役割の移り変わり
図●日本における組立性設計の役割の移り変わり
メーカーによる組立性設計の導入は、1980年代後半にその設計事例が多く出てきたことと、組み立ての自動化が進んだことで一気に広まった。工場の海外展開が進む今、改めて注目されている。

山際康之(やまぎわ・やすゆき)
東京造形大学教授
東京大学博士(工学)取得。ソニー入社後、「ウォークマン」などの製品設計を経て、組立性・分解性評価設計法の開発、ビジネス化を推進する。以後、製品環境グローバルヘッドオフィス部門部長を務める。現在、東京造形大学学校法人理事、東京大学大学院非常勤講師など兼任。著書に『組立性・分解性設計』(講談社)、『サステナブルデザイン』(丸善)など。リサイクル技術開発本多賞、日本生産管理学会賞、日本設計工学会武藤栄次VP賞など受賞。