これまで5回にわたり、海外工場の経営を推進する際の基本となるキャッシュフロー経営の基礎と、その実践方法について述べてきた。最終回の今回は、それらをベースに日常の経営で管理すべき事項について解説する。
まずは資金繰りを確認
本連載第1回(2012年5月号)の冒頭でも述べた通り、日常の経営の中で経営者がまず押さえるべきポイントは、資金繰りである。「利益が出ているから資金は大丈夫」という楽観は通用しない。たとえ黒字でも、資金が無くて支払えない状態に陥れば、銀行取引停止となり倒産に至る。従って、まずは資金繰りが大丈夫かどうかを確認することが肝心だ。
そこで使われるのが、資金繰り表である。月次の資金繰り表は、前月末の資金の繰越高(前月繰越)から当月の入金(経常収入)と支払い(経常支出)、それらを差し引きした過不足額(差引過不足)、および財務収支として当月の借り入れによる入金(借入)・借入金返済ための支出までを記載し、翌月に繰り越す資金(次月繰越)がどうなるかをまとめたものだ(表)。
〔以下、日経ものづくり2012年10月号に掲載〕
表中左列の項目名が「収支設備」、「収支財務」となっておりましたが、正しくは「設備収支」、「財務収支」です。お詫びして訂正いたします。表は既に訂正済みです。 [2012/10/01 14:50]
ジェムコ日本経営 取締役