多くのメーカーが研究開発部門のカイゼンに乗り出している。そこに透けて見えるのは、短期間で新製品やサービスを市場に送り出し、何としても業績を回復させたい経営陣の思惑だ。しかし、現実はそう甘くない。短期間で成果を上げることを求めても、そのベースとなる人材が現場に不足しているからだ。このままでは、縮小路線に乗るのみだ。この状況に効く「特効薬」は、果たしてあるのだろうか。(池松由香)

 メーカーによるカイゼンと聞けば、生産現場の活動を思い浮かべるのが一般的だ。しかし、ここのところ、研究開発部門でもカイゼン活動を活発化させているとの声が聞かれるようになった。そこで製造業に携わる人に、勤務先の研究開発部門でカイゼンを実施しているか否かを聞いた。すると、全体の64.7%が実施していることが分かった。

 ではなぜメーカーは、研究開発部門のカイゼンに取り組むようになったのか。その理由を「経営の視点」と「現場の視点」の双方からひも解いてみたところ、メーカーの研究開発部門が抱える深刻な問題が浮かび上がってきた。まず経営の視点から見ていこう。

〔以下、日経ものづくり2012年10月号に掲載〕