雑誌 特集

中国格安スマホを狙え

大森 敏行、中島 募=日経エレクトロニクス
2012/08/31 09:00
 

第1部<中国メーカーの実態>
1000元スマホが世界を駆ける
急成長する中国地場メーカー

世界のスマートフォン市場で、中国メーカーの存在感が増している。その中から、Samsung社のような世界的な端末メーカーが生まれるかもしれない。部品メーカーは、将来の有望企業に今から食い込んでおく必要がある。

存在感を増す中国4大スマートフォン・メーカー
(図:易観国際のデータを基に本誌が作成)

 中国の携帯電話機といえば、無線機器としての認可を取得せずに販売される、いわゆる“山寨機”を思い浮かべる人が多いだろう。たしかに少し前までは、中国の携帯電話機は山寨機が席巻していた。しかし、ここ最近急速に中国で市場が拡大しているスマートフォンでは、この構図が一変している。きちんと政府の認可を取得した正規品を販売する中国メーカーのシェアが、大幅に上がってきたのだ。

 2012年1~3月の中国スマートフォン市場のメーカー別シェアでは、1位こそ韓国Samsung Electronics社だったものの、2位に中国Huawei Technologies社(華為)、4位に中国ZTE社(中興)、5位に中国Lenovo社(連想)、7位に中国Yulong Computer Communication Technology社(宇竜)と、4社の中国地場メーカーが10位以内に入っている。4社合計のシェアは37.0%と全体の3分の1を超える。中国工業技術研究院 Industrial Economics&Knowledge Center(IEK)によると、中国メーカーの合計シェアは2010年が6.6%、2011年が24.5%であり、短期間で急激に伸びている。

消滅に向かう山寨機

 「グラフはあくまで“表の市場”のシェアであり、それとは別に山寨機スマートフォンの巨大な“裏の市場”があるのではないか」と考える人がいるかもしれない。しかし、実際にはスマートフォンの山寨機は中国国内ではほとんど販売されていない。中国の携帯電話事業者が、第3世代携帯電話(3G)に対応した正規品のスマートフォンの普及拡大に熱心なためだ。事業者各社は、多大な投資を行って、中国の大都市を中心に3Gネットワークを構築している。事業者による管理が困難な山寨機に代わって、中国メーカーが開発した安価な3Gスマートフォンを積極的に提供することで、3G通信を普及させようとしているのだ。

『日経エレクトロニクス』2012年9月3日号より一部掲載

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第2部<現地レポート>
中国でも広がる「実質無料」
安くて高性能な端末が続々と

中国でスマートフォンの販売が好調だ。売れ筋は中国製の安価な製品。新規参入も増え、メーカー同士の競争が激化している。香港在住の専門家が、中国でのスマートフォンの実像をレポートする。

『日経エレクトロニクス』2012年9月3日号より一部掲載

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第3部<1000元スマホを分解>
完成度は十分だが
山寨機の面影残す製品も

中国で1000元前後で販売されているスマートフォンを入手し、分解・調査を試みた。1000元強で販売されている製品は、派手さはないが、内部は堅実な作りだった。MediaTek社のLSIを採用する低価格機は、山寨機の面影を色濃く残していた。

Yulong Computer Communication Technology社の「Coolpad 7260+」

 今や中国の大手スマートフォン・メーカーの一角を占める中国Yulong Computer Communication Technology社(宇竜)のブランドが「Coolpad(酷派)」である。今回は、同社の1000元スマートフォン「Coolpad 7260+」を入手し、分解・調査した。同ブランドは、中国では「高級・高機能」というイメージがあるという。

 1099元(約1万4000円)と安価なのにもかかわらず、4.0型と大型の液晶パネルを搭載しているのが特徴である。背面カメラの画素数は320万と最近のスマートフォンとしてはやや少ない。また、前面カメラは搭載していない。こうした部分でコスト削減を図っているとみられる。

『日経エレクトロニクス』2012年9月3日号より一部掲載

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第4部<部品業界へのインパクト>
中国スマホが生む「部品特需」
ローエンド端末にも商機あり

中国市場のスマホへのシフトは、日本の部品メーカーにとって大きなチャンスを生む。ローエンド端末向けを含め、地場企業の技術力では作れない部品が少なくない。ただし、現地で過当競争に陥っている部品もあることに注意が必要だ。

中国スマートフォンに求められる部品

 加入数が10億件を超える中国の携帯電話市場。世界最大規模を誇るこの市場において、端末の主流が従来一般的な携帯電話機(いわゆるフィーチャーフォン)からスマートフォンへと移行することは、日本のエレクトロニクス産業にも大きなインパクトをもたらす。特に、スマートフォン向けの受動部品やセンサなどを手掛ける電子部品メーカーにとっては、大きなビジネスチャンスになりそうだ。

山寨機の淘汰が潮目に

 日本の部品メーカーにとって中国の携帯電話市場は、一定の売り上げは確保できるものの、日本や欧米市場に比べると「未開の地」ともいえる状態だった。部品を納入できる中国地場の端末メーカーが少なかったからである。

 中国では商習慣の欧米化が進んでおり、代金回収などのリスクはある程度下がっている。ただ、中国の携帯電話市場には「違法の山寨機が主流を占めている」という企業統制上の大きなハードルがあった。正規品の端末を作っている企業とは取り引きできるが、出回っている端末の数は山寨機のほうが圧倒的に多かった。中国政府の認可を受けずに山寨機を製造している企業と取り引きをするのは、日本の企業としてリスクが大きすぎる。このため日本の部品メーカーは、中国市場向けには積極的に部品供給を拡大できない状況が続いていた。

 また、山寨機に日本の部品が使われていたとしても、部品メーカーが把握できない非正規の流通ルートで供給されているケースがほとんどだったという。ある部品メーカーの幹部は「山寨機を入手して分解してみたら、その山寨機を製造している企業とは取り引きがないのに、うちの部品が使われていた」と打ち明ける。

 しかしスマートフォンが主流になりつつある今、状況は変化している。山寨機の勢いが衰えたことで企業統制の問題がクリアされ、中国市場に部品を供給しやすくなった。正規のスマートフォンが市場に多く流通するようになり、日本の部品メーカーに大きな商機が生まれている。

『日経エレクトロニクス』2012年9月3日号より一部掲載

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