海外工場の運営を任された技術者が大きくとまどうことの1つに、経営計画の策定がある。日本では技術面だけを気にしていればよかったのに、赴任した途端に経営計画を考えなくてはならないケースも珍しくない。今回は、経営計画を策定するための基本的な考え方を解説する。
中期と単年度の2つの計画
一般に、経営計画は[1]中期経営計画と[2]単年度の事業計画の2つに大別できる。[1]中期経営計画は、3~5年先を見越して立てる計画で、中長期の視点に立ち、事業戦略とそれを具現化するために必要な取り組みを明確にしたものと言える。一方、[2]単年度の事業計画は、中期経営計画で明らかにした事業戦略をどう実現するか、その年度の経営目標の数字を達成するために何をすべきかを明示したものである。具体的で、はっきりとした裏付けのある実行計画だ。つまり、中期経営計画で自社の戦略を明確にし、単年度の事業計画では、それを具体的な戦術と経営の数字に落とし込むのである。これらの計画を立てられないようでは、海外工場の経営は担えない。
〔以下、日経ものづくり2012年9月号に掲載〕
ジェムコ日本経営 取締役