デンソーと豊田自動織機が開発した電動コンプレッサの特徴は、インバータをモータとコンプレッサと一体にしながらも、小さく軽いこと。インバータの電磁雑音を抑えるために1相だけに電圧を加えるモータの制御手法を開発した。加えて、モータハウジングとステータの間にすき間を設けて焼き嵌ば めして小さくした。(本誌)
エンジンの役割が小さなハイブリッド車(HEV)や、エンジンがない電気自動車(EV)の空調システムに欠かせないのが、動力源にモータを使う電動コンプレッサである。
デンソーと豊田自動織機は共同で電動コンプレッサを開発しており、その市場で約8割と大きなシェアを占めている。年間の生産台数は60万~70万台になる。
電動コンプレッサではモータを動かすのに大きな容量の蓄電池が必要だ。それでもエンジンの動力をベルトで伝えて動かすコンプレッサと比べて、運転の状況によるが燃費を最大で約2割高められる。
モータとインバータ加えて同じ大きさ
現在生産している電動コンプレッサは3種類ある(表)。レクサス「LS600h」などの大型車向けの「ES34」、「カムリ」などの中型車向けの「ES27」、「プリウス」などの小型車向けの「ES14」。多くの車種に対応できるようにシリーズ化している。型式の数字はコンプレッサの吐き出し容量を示し、例えばES34は1回転当たり34mLである。
これらに適用する技術はほぼ共通で、一つのラインで混流生産できるように3品種とも胴径を統一し、モータやコンプレッサの長さを変えることでコンプレッサの容量を調整する。