北南米への供給基地として、存在感を増しているのがメキシコ。2012年には280万台の生産が予定され、日産自動車、ホンダ、マツダが現在新工場を建設中だ。同国の生産、販売でトップシェアの日産、そして日産向けCVT(無段変速機)を生産するジヤトコの戦略を探った。

 2012年7月、日産自動車はメキシコのAguascalientes工場の近くに第3工場を建設するための定礎式を実施した(図)。メキシコ大統領のFelipe Calderon氏をはじめ、日産および自治体関係者など250人が出席し、盛大に式を開催した。Calderon氏は「日産のメキシコに対する高い信頼に感謝する。20億ドル(1ドル80円換算で1600億円)という巨額投資と1万2000人の新規雇用の創出は現在のメキシコ経済に極めて大きく影響する」と祝辞を述べた。
 今回の投資は、日産が1966年にメキシコに進出してからの累計投資額7.6億ドル(608億円)の3倍近くとなる巨額なものだ。2011年に年間60万台あまりを2工場で生産し、生産シェアトップの日産であるが、さらに第3工場が完成すれば17万5000台の能力が加わることになる。
 メキシコには日産だけでなく、ホンダやマツダも熱い視線を送る。ホンダは「フィット」を生産する年産20万台規模の工場を着工し、2014年春に生産を開始する予定だ。マツダも2013年度中に新工場で「デミオ」「アクセラ」の生産を開始する予定で、2011年10月に年産14万台規模の工場を建設し始めた。

以下、『日経Automotive Technology』2012年9月号に掲載
図 日産自動車のメキシコ新工場の定礎式
図 日産自動車のメキシコ新工場の定礎式
Felipe Calderon大統領(中央)や日産、自治体関係者が出席した。