パイオニア カーエレクトロニクス事業統括部カー事業戦略部スマート・ビジョン事業開発室副参事の橋田雅也氏
パイオニア カーエレクトロニクス事業統括部カー事業戦略部スマート・ビジョン事業開発室副参事の橋田雅也氏
入社以来、GPSのソフトウエア開発、カーナビの位置精度向上、米国駐在、地図データの圧縮データフォーマットの開発などを経て、今回ヘッドアップディスプレイを搭載した「サイバーナビ」の開発を担当。

 パイオニアは、Augmented Reality(AR=拡張現実)情報を、フロントガラスの前方に映し出すHead Up Display(HUD=ヘッドアップディスプレイ)を搭載したカー・ナビゲーション・システム(以下カーナビ)「カロッツェリア・サイバーナビ AVIC-VH99HUD」「同AVIC-ZH99HUD」を2012年7月下旬に発売した。
 このカーナビは、経路や車線など運転に役立つ様々な情報を、鮮明なフルカラー映像として、ドライバーの約3m前方に90×30cm相当の大きさで表示する。実際の風景に重ね合わせることで、運転者は視線移動や焦点距離の調節なしに情報を把握できる。
 この開発に、企画段階から携わってきたのが、同社カーエレクトロニクス事業統括部カー事業戦略部スマート・ビジョン事業開発室副参事の橋田雅也である。

翌日から戦争が

 「上司と私の二人でスタートしたプロジェクトでした。これまでいくつか仕事の転機はありましたが、企画から製品の導入まで一貫して責任を負った仕事は初めてだったので、出来上がった嬉しさには格別のものがあります」
 橋田は、大学の理工学部を卒業し1993年にパイオニアに入社した。
 「特に何かこだわりがあって入社したとは言いにくいところがあります」と笑う。とはいえ、いざ入社してみると「こだわりのある会社で好きになりました。総合家電メーカーと違い、その社名の通り、市場を切り開いていく姿勢があります。当時はカーナビが出て間もないころで、研究所に配属され、GPS(全地球測位システム)の測位計算のソフトウエア開発を担当しました」。

以下、『日経Automotive Technology』2012年9月号に掲載