人とくるまのテクノロジー展が勢いを取り戻している。2012年の出展社数は436社、来場者数は7万1785人と、東日本大震災の約2カ月後の開催となった2011年の377社、5万2308人だけでなく、2010年の397社、7万947人も上回った。出展内容は依然として電動化や電子化関連技術が多いものの、軽量化に貢献する素材・加工技術や、機械要素部品の出展も目立った(図)。

図 会場の様子
図 会場の様子
三菱ケミカルホールディングスのブース。同グループの製品を使ったコンセプトカーを展示した。

 三菱自動車は、2012年度に発売する予定のプラグインハイブリッド車(PHEV)に搭載する「三菱プラグインハイブリッドEVシステム」の構造モデルを公開した。搭載車種はスポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)で、電池に蓄えた電力だけで、50km程度の走行が可能という。ガソリンを満タンにし、満充電したときの航続距離は800km、電気自動車(EV)走行とハイブリッド車(HEV)として走行する燃費を勘案して計測する「プラグインハイブリッド燃料消費率」は60km/Lを目指す。
 ドイツZF社はモータ、減速機、差動歯車機構からなるEV用の駆動機構「EVD1(Electric Vehicle Drive 1)」を展示した。モータを誘導モータ(同社は非同期モータと呼ぶ)としたことが特徴。EV用のモータは現在、同期モータが主流だが回転数が高い領域では誘導モータの方が効率の面で有利になる。ZF社のシミュレーションでは日本の「10・15モード」など一部の例外を除いて、世界中の多くのモード、社内の実験モードで誘導モータが有利だった。このため同社はEVでは誘導モータを選択した。回転数がEV用より低いHEV用は同期モータとする可能性も残っているという。
 エクセディの子会社であるダイナックスはインホイールモータを搭載した小型EVを出展した。ドイツDaimler社の「smart fortwo」をベースとし、後ろ2輪をインホイールモータで駆動する。ダイナックスは欧州自動車メーカーなどに自動変速機用のクラッチなどを供給している。EVの時代になると変速機のニーズが少なくなることから、将来を見越してインホイールモータの研究開発を進めている。

以下、『日経Automotive Technology』2012年9月号に掲載