日産自動車は、「キャラバン」を全面改良し、名称を「NV350キャラバン」と改めて6月15日から発売した。11年ぶりの全面改良で、キャラバンとしては5代目となる。荷室をクラス最長としたほか、輸入部品を4割採用して、低コスト化を図った。

 新型キャラバンの発表会で同社最高執行責任者(COO)の志賀俊之氏は、キャラバンが属する4ナンバー1ボックス商用車のクラスでトヨタ自動車の「ハイエース」が8割のシェアを占める現状を打開し、「シェア4割を目指す」と対抗心を露わにした。4代目キャラバンは、前面衝突に対する安全性を向上させるのにフロントオーバーハングを長くしたため、その分荷室長が短くなっていた。「市場調査で、実用的には荷室長が十分なことを確認していたが、カタログ上の数値が劣っているのはやはり不利だった」(同社)。
 そこで新型キャラバンは、安全性を維持・向上しながらフロントオーバーハングを140mm短くし、また荷室の形状を工夫するなどによって、最大荷室長(5人乗り、ロングボディ、標準幅、標準ルーフ、低床仕様車)は3050mmと、従来よりも250mm長くした。これはハイエースの3000mmを上回り、クラス最長である。ホイールハウスの上面を平らにして、荷物の積み込みやすさにも配慮した。
 パワートレーンでは、ポスト新長期規制に対応した新開発の排気量2.5Lクリーンディーゼルエンジン「YD25DDTi」を搭載したのが目玉(図)。2輪駆動・5速自動変速機仕様のJC08モード燃費は12.2km/Lで、従来型の排気量3.0Lの「ZD30DDTi」を搭載した2輪駆動・4速自動変速機仕様(8.8km/L)に比べて約39%向上させた。この数字は、ハイエースの2輪駆動・4速自動変速機仕様ディーゼル車(11.4km/L)も約7%上回っている。

以下、『日経Automotive Technology』2012年9月号に掲載
図 YD25DDTiエンジン
図 YD25DDTiエンジン
新たにポスト新長期規制に対応させた。従来のZD30DDTiエンジンに比べて燃費を39%向上させた。排気量が減ったにもかかわらず、トルクも34%上回る。