三菱ふそうトラック・バスは、小型ハイブリッドトラックの「キャンターエコハイブリッド」を5年10カ月ぶりに全面改良して5月に発売した。DCT(Dual Clutch Transmission)と1モータハイブリッドを組み合わせ、重量車モード燃費でクラストップの12.8km/Lを達成した。

 先代は、シングルクラッチのパラレルハイブリッド車だったが、今回モータ出力を35kWから40kWに高め、変速機をAMT(Automated Manual Transmission)からDCTに変更。さらにモータの冷却方法を見直して冷却システムを小型化、Liイオン2次電池のセル数を減らして車両質量も90kg軽くした。
 この結果、モード燃費は従来の11.6km/Lから12.8km/Lへと1割改善し、GVW(車両総重量)3.5t超~7.5t以下で最大積載量1.5t超~2t以下のカテゴリーでは、クラストップとなった。
 エンジン、DCTは2010年に全面改良した「キャンター」と同じ。エンジンは排気量3. 0Lの「4P10」で、尿素SCR(選択還元触媒)によりポスト新長期規制に対応した。最高出力は96kWで、最大トルクは300N・m。DCTは「DUONIC」と呼ぶ6速タイプで、クラッチと変速機の間に厚さ110mmのモータを挟んだ。ハイブリッドシステムのレイアウトは図のようで、フレーム左側にLiイオン2次電池とインバータを搭載する。
 DCTのクラッチと変速機の間は二重軸になっており、内側が奇数段、外側が偶数段。このうち外側の軸にロータを固定した。つまりモータは偶数段だけを駆動する。ただし偶数段と奇数段は出力側でつながっており、奇数段のクラッチがつながっているときも、偶数段経由でモータのトルクは出力軸に伝わる。

以下、『日経Automotive Technology』2012年9月号に掲載
図 ハイブリッドシステムのレイアウト
図 ハイブリッドシステムのレイアウト
排気量3.0LのディーゼルエンジンにDCTとモータを組み合わせた。Liイオン2次電池はフレームの左側に搭載。