暑い夏がやってきた。昨年と同様、各地で電力不足が懸念される中、企業は厳しい節電対策に取り組んでいる。関西を代表する企業、パナソニックも例外ではない。2011年7月に専門組織を立ち上げ、夏だけではなく1年を通じて節電に向き合ってきた。同組織を指揮する宮井真千子氏は、働き方に切り込まずして、従業員に負担をかけない節電対策はないと語る。
節電の専門組織というのは、その名もズバリ「節電本部」です。恒常的な電力不足に対応するのはもちろんのこと、省エネを進展させて生産性向上と体質強化を図ることを目的に、2011年7月に新設しました。
この節電本部は、パナソニックの中では珍しい全社横断的な組織です。環境をはじめ、施設、生産技術、人事、総務といった節電に関連する部門から責任者クラスを10数人集めました。
と言いましても、部屋もなければ机もないバーチャルな組織なんです。当然、何かあればすぐに集まりますが、全員で会議をするのは基本的には1カ月に1回程度。あとは、社内の節電状況や政府の動向、電力の動向などの情報を共有しながら、節電対策を一元的かつ効率的に推進しています。
グループ全体としての意思決定が速くなったり社内外の関係部門との調整が円滑になったりと、案外うまく機能してきたと思います。普段の仕事があるメンバーには、あまり大きな負荷をかけないままに。
〔以下、日経ものづくり2012年8月号に掲載〕(聞き手は本誌編集長 荻原博之)
パナソニック 役員・環境本部長兼節電本部長