ITベンダーの役割はツールの提供やシステムの構築、あるいはITシステム面でのコンサルティングというのが常識だった中で、富士通やNECなどが「ものづくりノウハウ」の提供に動き始めた。両社とも歴史のある通信機器・コンピュータのメーカーであり、傘下グループも含めてさまざまな要素技術やノウハウを持つ。その製造業としての知見に対するニーズが増えてきたという。
2012年6月20~22日に東京ビッグサイトで開催された「第23回設計・製造ソリューション(DMS)展」には、メイン通路を挟んで向かい合った両社が、それぞれ製造業としての知見をアピールした。ハードウエア(コンピュータ)の供給から始まってソフトウエアに軸足を移してきた両社が、さらにサービスに進出したことを印象付けた。
ベテラン技術者を派遣
富士通は、自社のものづくりノウハウを外販するサービス「ものづくり革新隊」を2012年10月に開始する予定だ。[1]設計や生産技術のベテラン技術者を派遣する「ものづくりエキスパートサービス」、[2]自社で検証した生産設備やITシステムなどの「ものづくりツール」の提供、[3]専門性の高い業務や工場共通業務などを請け負う「ものづくり受託サービス」、という3つのサービスから成る(図)。「これまでもITシステムの構築だけではなく、ものづくり自体を手伝うことはあったが、個別対応だった。ものづくり革新隊では組織的に対応したい」(同社)としている。
〔以下、日経ものづくり2012年8月号に掲載〕