ホンダが今、グローバル市場における自動車の開発体制を大きく転換しようとしている。これまで栃木県・芳賀町の本田技術研究所にあった日本向け軽自動車の開発機能を2012年4月、軽自動車の生産拠点である鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)に移転したのだ。同社はこうした開発機能を製造拠点に移転する取り組みを、まずは鈴鹿で成功させ、次に中国など新興国の製造拠点にも展開していく方針だ。
〔以下、日経ものづくり2012年8月号に掲載〕
事例1:ホンダ
量産化までの期間を3カ月短縮
下の写真は、ホンダの日本向け軽自動車の開発と製造に関わる全ての部署が入った鈴鹿製作所の「大部屋」の様子である(図1)。入居するのは、設計、購買、生産技術、製造の部署に所属する面々。ここに営業担当者が頻繁に訪問し、計5部署が一体となって開発に取り組んでいる。
大部屋のミッションは、日本の消費者が求める軽自動車をスピーディーに市場に届けることにある。通常、開発から出荷までに3~4年を要するが、大部屋連携でこれを3カ月~1年分短縮するという。ここでモデルケースを作れれば、今後は新興国などの海外にも大部屋を展開する。
〔以下、日経ものづくり2012年8月号に掲載〕
事例2:スノーピーク
開発者1人の年間開発商品数が倍に
スノーピーク(新潟県三条市)は、アウトドア製品やアパレル製品などを開発・製造・販売するメーカーだ。2001年には欧州諸国や韓国をはじめとするアジア、オセアニア地域への輸出を始め、市場を海外にも広げつつある。そんな同社が今、社をあげて取り組むのが、「大部屋」による部署間の連携だ。
大部屋があるのは、同社が2011年4月に三条市の緑豊かな丘の上に開設した「スノーピーク ヘッドクオーターズ」だ(図2)。ここで開発、製造、品質保証、購買、総務など全ての部署が共に机を並べて仕事をしている。ルールは、[1]同じ部署の人の隣に座らないこと、[2]昨日とは同じ場所に座らないこと、の2つ。今や全員が、どこの部署で何が起こっているのかを把握している。
〔以下、日経ものづくり2012年8月号に掲載〕