技術者に期待される知財経営への提言
今回から3回にわたり、市場ニーズや環境変化に対応していかなければならないという経営課題に対して、知財面からどう解決を図るかという「知財面からの課題解決アプローチ」と、それを具体化するための「知財情報戦略」について解説する。
国内でも知財立国の掛け声の下、事業戦略、研究開発戦略、知財戦略の三位一体の経営(知財経営)が提唱されて久しいが、大手メーカーでさえ十分に実践できていない。
それだけに、研究開発の現場では知財に根差した観点から物事を見極めていくことが重要になってきた。さらには、研究開発の枠を超えた経営やマーケティングに関わる領域に対しても、そうした観点から技術者ならではの提言を打ち出していくことが期待されている。詳細は後述するが、今回は表の代表的な経営課題と課題解決のアプローチを軸に、その概要を解説するとともに、特に課題[1]の「アライアンス/企業買収」について具体的事例を交えながら、その妥当性を検証する。
〔以下、日経ものづくり2012年7月号に掲載〕
三井物産戦略研究所 弁理士