長い時間をかけ、多くの技術者によって開発された技術の情報は、ものづくり企業にとって根幹となる資産だ。その資産がライバル企業に漏れれば、競争力を大きく失う。こんな当たり前のことを頭では理解しつつも、日本メーカーの多くは技術情報の流出に対する十分な防止策に取り組んでいないのが現状だ。拠点も人材もグローバル化し、退職技術者に限らず人材の流動化も進む中、技術情報の流出防止に本腰を入れて取り組むべき時が来ている。(中山 力)

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 「全く取りまれていないと思う」は10. 7%で、現在の取り組みを「不十分」だと感じている回答(84.7%)を加えれば、大多数が日本メーカーの取り組みを十分だとは思っていない。技術情報を流出させないために、日本メーカーはもっと取り組むべきだという技術者の強い危機感の表れだ。

〔以下、日経ものづくり2012年7月号に掲載〕