• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

HOME日経エレクトロニクス2012年6月25日号 > 垂直連携で技術大国再び

日経エレクトロニクス2012年6月25日号

垂直連携で技術大国再び

  • 竹居 智久、中島 募=日経エレクトロニクス
  • 2012/06/22 09:00
  • 1/1ページ

最先端技術が日本企業を救う

 短期的な研究開発が増えると目先の売上増は期待できるが、一方で中長期的な研究開発がおろそかになって“将来の飯のタネ”がなくなってしまう。このままでは、技術の優位性を失い「技術大国ニッポン」は崩壊しかねない。こうした危機感から、産官学を挙げて研究開発のあり方を根本から見直す動きが始まった。キーワードは“タテの連携”だ。

第1部<総論>
研究体制をヨコからタテへ
応用を前提に技術を磨く

国内のエレクトロニクス産業の研究開発現場が変わり始めた。最終製品から部品、装置、材料までの層が集まる垂直連携型の体制を構築することで、新技術の実用化までの期間を一気に短縮するとともに、脱コモディティー化を模索する。

垂直連携型の研究開発が始まる

 「技術開発でリードし続けるために、研究開発はどうあるべきか」──。

 こうした問題意識を持った国内のエレクトロニクス産業の研究開発現場で、大きな変化が起きている。外部との共同研究、それも上流から下流までの層がすべて集まる垂直連携型の共同研究が急激に注目されるようになってきたのだ。

 「同じところを見ている人たちばかりが集まってもダメ。研究開発ではバーティカル(垂直)な連携が重要だ。2013年に終了する半導体関連のある国家プロジェクトの継続の話が出ているが、『次こそは半導体の顧客企業も巻き込む形にしよう』と要望を出している」(ローム 常務取締役 研究開発本部長の高須秀視氏)。

 垂直連携型の研究開発が注目されるのは、いわゆる「死の谷」を簡単に、短期間で越えられるようにしたいという問題意識があるからだ。

 死の谷をいかに早く越えるかは積年の課題だ。それが、最近になってさらに難しくなっている。理由の一つが、企業が事業の選択と集中を推し進めたことにより、もともと1社の研究開発部門が有していた知見が外部へと分散化してしまったこと。もう一つが、「技術の複合化が進み、1社では解決できない21世紀型の問題を研究開発で解かなければならなくなった」(産業技術総合研究所 理事長の野間口有氏)ことである。最終製品に関わるすべての技術を単独で基礎研究から育てられる企業は、世界全体を見渡しても皆無になったといっていい。担い手不在の応用研究を、垂直連携型の共同研究によってスピードアップしようというのが、国内のエレクトロニクス産業が出した答えである。

『日経エレクトロニクス』2012年6月25日号より一部掲載

6月25日号を1部買う

<インタビュー>
日本の研究開発 かくあるべき

 これまで日本の企業は自前主義的な研究開発体制を捨て切れず、公的研究機関や大学も企業が求めるニーズを適切にくみ取ることが難しかった。連携の歯車がかみ合わず、共同研究のプロジェクトが思うような成果を出せないことも少なくなかった。しかし、未曽有のエレクトロニクス不況などに直面して、研究開発現場の意識が変わり始めている。企業、公的研究機関、大学などで活躍する、さまざまな分野の研究者や専門家に、現場の変化や日本の研究開発のあるべき姿などについて聞いた。

第2部<TPECの挑戦>
つくばで始まる垂直連携
日本型イノベーションを模索

パワー・エレクトロニクス分野の共同研究体「TPEC」が始動した。材料メーカーから最終製品メーカーまでの垂直連携型共同研究を実施する先行例だ。メンバー集めや知財の取り扱いなど、TPECの設計思想を探る。

基盤技術を共用する複数のプロジェクトを実施

 茨城県つくば市のナノテクノロジー研究拠点「つくばイノベーションアリーナ」(TIA-nano)を舞台に、垂直連携型の共同研究の促進を目指す新たな大型プロジェクトが動きだした注1)。パワー・エレクトロニクス分野の共同研究体「つくばパワーエレクトロニクスコンステレーションズ」(以下、TPEC)である。

 民間企業16社と産業技術総合研究所(以下、産総研)が名を連ねるTPECに対して、参加企業も並々ならぬ熱意を見せる。自ら拠出する資金などが多い、いわゆる「上位メンバー」の1社である富士電機は、「SiC製パワー半導体の研究開発を手掛ける数十人をTPECに常駐させている。これほど大掛かりな共同研究は当社でも初めての試みだ」(同社 技術開発本部 電子デバイス研究所 所長で執行理事 電子デバイスCTOの藤平龍彦氏)。

 TPECは、企業や産総研などの参加メンバーが研究資金を投入して自立的に運営する形態を採る。2012年度の運営費用として、企業から約21億円相当の資金や資材が投じられた。7.9億円の研究開発資金と、12.9億円相当の装置や材料が集まった。加えて、企業の研究者106人がTPECでの共同研究に参加する。

 「TPECは日本型のオープン・イノベーションを実現する新しい枠組みづくりへの挑戦でもある。同様の取り組みが他の分野にも広がる起爆剤にしたい」(産総研 先進パワーエレクトロニクス研究センター 研究センター長でTPECの組織長を務める奥村元氏)。垂直連携型の共同研究の先行例といえる、TPECの設計思想をひも解く。

『日経エレクトロニクス』2012年6月25日号より一部掲載

6月25日号を1部買う