世界企業を目指す

 「コモディティー化した商品に対しても、決して逃げるのではなく、積極果敢に攻めていく」──。シャープ 社長の奥田隆司氏は、2012年6月8日に開催した経営戦略説明会で、復活に向けた決意を表明した。攻めに転じる切り札として期待するのは、提携した台湾Hon Hai Precision Industry社(鴻海精密工業)の調達・生産力である。

 説明会で奥田氏はデジタル商品分野の現状について、「もはや規模の勝負になっており、技術だけでは勝てない」と悔しさをにじませながら語った。魅力的な商品を提供する企業と、その生産パートナーが勢力を増す現状を踏まえ、シャープ単独の垂直統合モデルを諦めてHon Haiグループと新たなモデルを構築する方針を明らかにした。

売れ筋価格帯で勝負

 Hon Haiグループとの新たな垂直統合モデルの構築に向けて、二つの施策を進める。一つは、コモディティー化した商品分野で戦う体制の整備である。売れ筋の価格帯で競争力の高い製品を開発して、海外市場に積極展開するためだ。その第1弾として選んだのが、市場規模の大きな中国向けのスマートフォン事業である。

『日経エレクトロニクス』2012年6月25日号より一部掲載

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