複数の仮想マシンがGPUを共用可能に

 ネットワークの低遅延化や通信容量の増加が進む中、クライアント機器にどれだけの演算性能を持たせるかという議論に、一石を投じる技術が登場した。データセンターなどに設置したサーバー内のグラフィックス処理LSI(以下、GPU)を、ネットワーク越しに利用するというものだ。

 サーバー内のGPUを仮想化して複数のクライアントに共有させる技術を、米NVIDIA社と富士通研究所が2012年5月に相次いで発表した。画面の出力とユーザーからの入力の検知をクライアントが行い、アプリケーション・ソフトウエアの演算と描画をサーバーが行う、いわゆる「バーチャル・デスクトップ」環境に向ける。

 NVIDIA社などが想定するのは、3次元グラフィックス描画が多いゲーム・ソフトウエアや、3次元CADや映像編集などの業務用アプリケーション・ソフトウエアである。サーバー内のGPUを使い、タブレット端末や小型軽量のノート・パソコンでも軽快に利用できるようにする。クラウド型ゲーム・サービスの普及や、業務用ソフトウエアの外部からの利用などが加速しそうだ。

『日経エレクトロニクス』2012年6月11日号より一部掲載

6月11日号を1部買う