「実践 日野式設計手順書」では、日野三十四氏が提唱したモジュラーデザイン(MD)を実現する上で最大のカギとなる設計手順書について、その作り方や運用方法を指南します。メカ/エレキ/ソフトから成る複雑なシステムを論理的に設計するための方法を学べます。

設計のフローチャートを明文化

 今回は、第1回で示した「ものづくりプロセス」(2012年4月号p.144図2)の詳細設計におけるメカシステム(機構部品で構成されるシステム)の設計手順書について説明する。デジタル化が顕著な昨今といえども、製品の根幹は人が直接触れるメカシステムである。従って、製品の根幹となるメカシステムの設計手順書から作成する。

設計手順書作成計画の決定

 初めに、以下の順番で設計手順書作成計画を作る。
[1]会社の主力工場を選定し、主力工場における主力製品を決定する(複数の工場を持っており、工場内で機能が異なる複数の製品を製造している場合)。
[2]主力製品の標準設計部品構成を作成する〔第2回「標準設計部品構成」(2012年5月号p.148図5)参照〕。
[3]標準設計部品構成を基に、全ての部品構成をカバーするように設計手順書の作成単位を決定する。
[4]作成順番、作成担当者、目標納期を決定する。

〔以下、日経ものづくり2012年6月号に掲載〕

日野三十四(ひの・さとし)
モノづくり経営研究所イマジン 代表
1968年東北大学工学部卒業、マツダに入社し、エンジンの研究に従事。1988年に技術管理部門に転籍し、技術の標準化や開発プロセスのシステム化などを推進した。2000年にコンサルタントとして独立。2008年に「モノづくり経営研究所イマジン」を開設。2011年に「日本モジュラーデザイン研究会」を創設し、会長に就任。著書に『トヨタ経営システムの研究』(ダイヤモンド社)、『実践 モジュラーデザイン 改訂版』(日経BP社)など。